晴天に恵まれた10月11日土曜日、渡英後初めてイギリス国内でロンドンより外に足を踏み出しました。世界遺産に登録されている英国国教会総本山カンタベリー大聖堂がある町、Canterbury(カンタベリー)を訪ねたのでした。ロンドンVictoria駅を出発、牛や羊が草を食み、小麦畑が広がる田園風景を車窓から眺めながら列車に揺られること約2時間で、イギリス最大の巡礼地であるその町に到着しました。
大聖堂は町の中心部に威容をもってそびえ立っていました。現存する建物は1070年から増改築が繰り返されていて、ノルマン様式、ゴシック様式の特徴をあわせ持っています。下から見上げると、ゴシック様式に典型的な尖塔が、まるで天を突き刺しているかのようでした。
教会内部も、壮大さ、美しさに圧倒されるばかりです。中世に作られたステンドグラスの鮮やかな色は今なお褪せることなく、細部に渡る装飾も豪奢かつ繊細で見事という他ありません。歴代の王や著名人の墓も数え切れないほどありました。特に、聖堂の最深部イエス礼拝堂の周りでは、百年戦争で大活躍したエドワード黒太子(1330~1376)や薔薇戦争の遠因となったヘンリー4世(1367~1413)とその妃など、王族が眠っています。高校時代に世界史の教科書で目にした名前のオンパレード。
ところで、到着してから初めて知ったのですが、10月11~25日の15日間、Canterberyでは"Canterbury Festival"という芸術祭が開催されているのでした。大聖堂でもこの日夜にはオーケストラと合唱隊により「ファウスト」が上演されるとのことで、ちょうどそのリハーサルに遭遇しました。本番でなくとも、広い聖堂内に音が反響し、素晴らしいスケール感。ロンドンまでの終電がなくなるので泣く泣く断念しましたが、19時半からの本上演も是非聞いてみたかった。
Canterburyには、大聖堂の他に、聖アウグスティヌス修道院跡という重要な宗教的意義を持つ遺跡があります。6世紀初頭、イギリスで初めてキリスト教布教を行った聖アウグスティヌスが拠点として建てた修道院の跡地です。修道院は6世紀以降増改築が繰り返されましたが、英国国教会を創立したヘンリー8世の修道院解散令によってほとんどの建物は解体されてしまったそうです。今はわずかに残った遺構からしか往時を偲ぶことはできません。廃墟と遠景に臨むカンタベリー大聖堂との対比に、宗教にさえ訪れる栄枯盛衰の波を感じたのでした。
Canterburyはなかなか見応えのある町でした。ロンドンはまた違った雰囲気を纏っています。まだまだロンドンから日帰りで訪ねることができる場所はたくさんあるので、少しずつ足を延ばしてみたいと思います。
すごーい、なんと美しいのでしょう!
テレビや写真集でしかみたことがないのですが、
そのままで絵画のようだね。
荘厳なステンドグラスと豊かな緑。
透き通る空色。
いってみたいなあ。
投稿情報: sleepyhead | 2008-10-12 20:30
>sleepyheadさん
美しいよねー。
いわゆるヨーロッパの絵画的な美しさでした。
是非ご自身の目で素晴らしさを体験して下さい。
投稿情報: Shibuya | 2008-10-13 01:21